2005/8/1(Mn)
199x/08/01 ブルー魔術団の日本公演。 (『青の時間 TIME BLUE』薄井ゆうじ ハルキ文庫 角川春樹事務所)
2316/08/01 イアペトスで修理されたキャシディの生年月日。 (『蝿』ロバート・シルヴァーバーグ 所収「危険なヴィジョン 1」早川文庫SF537) →
▽ラノベの次の話
. これからの約1年で、ラノベに新レーベルが大量に増えそうという話を聞いた。
. で、一番に思い浮かんだ未来予想図が、粗製濫造による全体の品質低下で、それに伴ってラノベというジャンル全体が退廃/衰退する、というもの。
.
いやいや、そうじゃないだろう。
量が増えればそりゃあへぼいのも増えるだろうが、確率からからいっても上質なものとか、バリエーションを広げたものとかが出てくるだろう。
だから、そういう明るい面を見ようよ、
と思いなおした。
. 玉石混交、むしろポリシーがまともとか、指針がたってるとか、珠玉揃えてるとか、そういうのの方が少数派で、どざーとカオス入った状態からスタートし、やがて滅びるものは滅び、生き残りが認められて『名』を受ける。
. という構造は、何事にあたっても定石のパターンだろう、と。
.
で、書籍関係でそういうパターンって、今までに、2回ぐらい見てきていないか?
と思った。
人に聞くとそれは君の一読書履歴の中ではそうだろうが、現実世界においてそのような現象があったかはデータがきちんと揃ってない、むしろそうでなかったという客観的事実の方が多いだろう、と言われたので、以降は与太。
.
1つは、小学生か中学生ぐらいの時、学校の図書館で横目でみていた、『SF』の棚でだ。
ジュヴナイル用というのだろうか、「こどもSFナントカ」と名付けられたレーベルで様々なSFの抄訳が大量に出回ったと思う。
早川とか創元推理文庫SFとか、大人になってから知ったが、サンリオ文庫なるレーベルの誕生とか。
他にも、レーベルからはなれても「SF」は結構あちこちから、ポロポロと普通のに混じって、しかしそれなりにシリーズの体裁を整えたり整えなかったりして、量が出てたと思う。
で、そういうのっていつの間にか姿を消してるよね、みたいな。
.
2つは、高校生か大学ぐらいの時、一般書店の棚で見てきた、そう、『ラノベ』黎明期の棚でだ。
ジュヴナイルSFで育ったチビが図書館の棚を総ざらえしてしまい、あとは自分の小遣いでどうにかなるといえば文庫本、と思った時に書店に現れたのがソノラマ文庫。そのうち富士見ファンタジアという胡散臭いものが現れ、いつの間にか売れ出し、いい加減時流に遅れた頃になって角川文庫が角川スニーカー文庫と名を変えた。その間にもアニメージュ文庫でナウシカの絵コンテが出たりしてた。
で、大陸書房が潰れたりした。「星虫」を生んだ新潮社ファンタジーノベルなるものがあった事を今知る人はどれぐらいだろうか? 大陸書房といえば新書という感覚が私にはあるが、文庫でネオファンタジーなるものがあった事とか? 講談社X文庫のはじまりにはヤマトやレンズマンがあった。けど今はそういうのは消えてると思う。
.
で、暫く間があって。
ようやく各レーベルが安定したかなと思ったら電撃文庫が殴り込んできて、他では絶対やらないような実験的なのや新人発掘を振りまいて怪しさとおかしさを爆発させた。
ガンマ文庫とかエンターブレイン文庫とかもなかったっけ? で、姿消したり、ファミ通文庫に移ったり。
.
え? じゃあ、2つじゃなくて3つかな?
という訳で、俺定義によると、
『SF』と『黎明期ラノベ』『第二期ラノベ』において、
最初、なんか勢いに任せて色々出てきて、
次に、売れなかったり潰れたり消えたり止まったりで淘汰されて、
最後に、最初の頃からは良くも悪くも変質した幾つかが生き残る。
というパターンが観られた、と。
.
変質というワードは変かな。成長とか熟成とか。
幾つかのバリエーションを産んだ上で、それぞれの特徴で先鋭化誇大化して生き残ってる感じ。
.
SFの場合。
初期の早川文庫SFや早川文庫FTのあたりとか、創元推理文庫が創元推理文庫SFになったりならなかったりしてるあたりとかみてると、ジャンル定義の迷走があったと思う。SFを看板にしながら、「SFとはなにか?」というのが判らない感じ。時に魔法が入ったり時に童話がまじったり色々しながら生き残ったものは「科学に拠るハードSF」「成長と冒険のジュヴナイルの系譜」「神話系ヒロイック」といったものになった。そしてそれぞれにそう名付けた時から「純粋な”SF”」は不在になった。
.
更にSFは変性を遂げていく。ずっと「SF読み」として活字中毒を続けていたはずの私は、気が付くと「ライトノベル」を読んでいた。パワードスーツや宇宙船やA.T.あたりをスイッチに、ソノラマ文庫ぐらいから路線が移り始めたらしい。
生存競争に生き延びたSFの子孫のうちの一匹の背中には「ラノベ」と書いてあった訳だ。
黎明期ラノベの場合。
ラノベの場合は、まずラノベ、というジャンルの確定が五里夢中だった。ようやく最近その名前で統一して呼びましょうね、となったぐらい。
それこそファンタジーだったりネオファンタジーだったりヤングアダルトだったりするわけですが。
で、名も不確かながら、角川、ソノラマ、コバルトあたりから絵付小説が大量に産まれ滅んでいったよと。
このあたりの親? 祖先? って、そのうちのひとつは確実にSFだと思う。あと児童文学。
ちなみに生き残った子供側の一人には、ノベルゲーがあるんじゃないかなと思う。あと漫画への逆感染みたいなものとか?(小説を漫画で書こうとした漫画の登場?)
.
第二期ラノベの場合。
安定してしまってた? ところに電撃文庫が爆弾落としていった、みたいな感じなのかなあ。電撃って話的にも新人起用とかでも、なんか変なの多かったよね。ピンキリというか。今は安定しちゃったけど。あと、電撃G's文庫があったから、ゲームとの色々な試行錯誤マッチングもしてたように思う。
で、またぐらぐらして、吹きこぼれて、安定していったんじゃないかな。
.
で、次が来る。今来る。今年来る。
んじゃないのかなと。
もう『ラノベ』とはっきり名付けられちゃったし、産まれの頃に爆発して、バリエーション広げる頃にもう一度爆発して、合計2発も破裂してるので、
次の爆発では『ラノベ』という看板は木っ端微塵になるんじゃなかろうか。
下手に看板が作れるぐらい固めたから割れるんだよ。あとは壊れるだけだよ。もうちょっと柔らかいままにしとけばよかったのに。とかも思う。
. でまあ、ラノベが滅んだにしても、その最後っ屁の増殖は、前述の通り、バリエーションを産み、先鋭化し、多くは滅んでもうち幾つかが生き残るのも確実だろう。
. 今度、その生き残りはなんて呼ばれるんだろう? ラノベから産まれたポスト・ラノベはなに?
.
多分、それらが受け継ぐべき特徴は、ヒントは、既に今のラノベの中にある。
今産まれそう、多分産まれてるんだけど見逃してるもの、
のそのあたりについて、詳しい人に問い詰めてみたい。
.
素人考えでいくと、
・萌え
・私小説系(セカイ系、ひきこもり)
のあたり?
と考える訳だが。
でもどっちも属性どまりで、新たなジャンルをひっぱる力は無い気がするんだが。
これからもっと化けるのかなあ。
▽ラノベの次の話2
.
結局小説は時代/世相を反映するものだから、
お話の中身は延々神話から変わってなくて、古い酒を新しい器に入れてるだけだから、
と考えると。
. 過去の例を引き合いに出すと。
.
SFの時代/世相
高度経済成長
アポロ、スペースシャトル
特撮
.
ラノベの時代/世相
核家族
アニメ、ゲーム(ガンダムとファミコン以後)
コミック
.
というところだろうか。
こうして限定して抜書きすると、如実にそれを反映して小説のパッケージ/ジャンルが産まれてるなと我田引水が可能。
. では今、ラノベの次に何か産まれそうな、産まれるとして、それはナニを土台にして生まれるのか。
.
??の時代/世相
……
……、……
……
. の「……」を埋める事が出来れば、予想が立つ!
.
んー。ナニが埋まるんだろう。
インターネット?
携帯電話?
異常気象?
猟奇?
2005/8/6(St)
xxxx/08/06 メトセラの胸に埋め込まれた十字架に彫られた日付。 (『メテオ・メトセラ』尾崎かおり 新書館) →
▽ラノベの次の話3
.
ライトノベルには今まで2回、ないし3回の爆発があっただろう、
という事になった。
.
1回目の爆発:
児童とSFとFTと電源無ゲームの枠をとっぱらい混ぜた。
ソノラマ・コバルト等がそもそも産まれた。
ロードス島やスレイヤーズが流行した。
というあたり。
.
2回目の爆発:
性別とアニメと電源有ゲームの枠をとっぱらい混ぜた。
BL系の興隆と交流。
幾多の後発レーベルの誕生、例えば電撃文庫。
角川文庫がスニーカーと名を付け替えた。
というあたり。
.
3回目の爆発:
今始まってるところ。
更に後発レーベルの誕生、MFJ文庫とか、これからの数年内でとか。
.
で、この3回目のタイプが読めない。
何と何の枠をとっぱらって混ぜ、どういう読者を呼び込むものなのか。
それとも前2回とは種類の違う爆発で、そういう定義では押さえられないものなのか。
特徴らしいもので私が把握してると言えば、
萌えというワードやそれに代表されるストーリーやキャラの属性DB化、
サイコやセカイ系等の内省系の強化、
というところだが。
他には、音楽やファッションが混じりつつあるのか?
出版事情や世相に関わる大きな部分は、
核家族、戦争、インターネット、携帯電話、
といったキーワードだろうか。
のだが、読めない。誰か読んでみてくれないだろうか。未来予想図。
.
問題は、
この3回目の爆発をライトノベルと名付けられたジャンルがどう乗り越えるか?
である。
.
私は「名付けられた」「名が定着した」事に結構危惧を抱く。ラノベの場合。
これは、既成の枠組の中に押し込められた? 割り砕く事ができるぐらいに硬直した? 事を意味するのではないかという感覚。今まで延々、ヤングアダルトはどうだとか、名付けが難航していただけに、余計にそんな感じがする。
. ついにコンクリが固まってしまった、それも半端な混ぜ方と形で、本来の建築用途に準じたしっかりした形でなく、という感じ。
.
で、3回目の爆発を乗り越えられずに粉微塵になるのでは、と。むろんラノベは残るだろうが、衰退というか、そういう感じになるのではと。
あるいは、従来の爆発が成長を示す爆発であったのに対し、今回のは瓦解の爆発ではないかと。
.
で、同時に、的外れな期待が一つ。
破滅の寸前、遺伝子異常で突然変異を頻発させ、その中から次の土壌の中で生き残る、なんらかの、「XX」と名付けられるジャンルが産まれてくるのでは、という。
ポスト・ライトノベルですな。
ある意味、ポスト・SFがライトノベルであったように。
.
でまあ、3回目の爆発のタイプを分析予測できたら、
「どんな話」が産まれるのか。
という話が出来て面白いと思ったのだが、上述のようにそこは私の手に余った。
.
ただ、装丁に関してはある程度予測が立つなあという気がする。
インターネットがある今、純粋文字データだけの存在に価値は低い。
メディアミックスの急先鋒であるラノベなら特にその影響は色濃いだろう。
という訳で、紙の魅力と絵の魅力、電子情報でない物理情報の魅力、をプッシュするだろう。
.
ずばり、
・変形文庫サイズ(あ、もう銀英伝とかあるじゃん)
・帯の玩具化(あ、既にどくろちゃんやら、巨大帯でイラスト変化が)
・挿絵の超増量(絵本に近づく。文章5p毎に1p挿絵とか)
・挿絵のカラー化
・表紙カバーの裏表印刷化
・カバーはいだ表紙のカラーイラスト化
・表紙カバーをリバーシブル化、ぱんつはいてる/はいてないとか(あ、既に萌えたんが)
・まえがきあとがき付録4コマ漫画の増大
・広告や既刊リスト等のおまけの増大
・透明素材や半透明素材による表紙カバー
・切り絵や透かし絵、飛び出す絵本等が中表紙等に入る
・付録CD、DVD等
・ハーブティーがおまけに付く
・特装版、フィギュア付
・ディスクアニマルが付く(でもメイドとか)
・紙面の上2/3面が本文で、1/3は延々イラストかコマ漫画
. なんか要するに雑誌化するのか?
2005/8/7(Sn)
2089/08/07 ラスト・ロケット、火星に墜落。 (『ファイアストーム −火の星の花嫁−』秋山完 朝日ソノラマ ソノラマ文庫<916>)
2264/08/07 大熊の中継ステーションで服を買う。 (『トゥインクルスターのんのんじー』竹本泉 白泉社) →
▽ライトノベルの物語構造
.
基本的事項の分類をしたDBってどっかになかったっけ?
・主人公が異界へ召還される(主人公は異人)
・主人公の恋人が異界から召還されて来る(主人公の恋人は異人)
のどっちかに100%振り分けられる、云々。
そういう調べ。
他には
・主人公が異能を持つ
・主人公の世界に敵対する組織がある
とか、そういう感じになるのかなあ。
・主人公は学生である
・主人公はパーティー(仲間)を組む
とか。
もうちょっと枠を広げると、各萌え属性みたいなのの分類とかも入るのかなあ。
・SF
・ファンタジー
・ロボ
・巫女
・ツンデレ
・お嬢様
・不良
とかとか。
2005/8/16(Te)
▽ライトノベル・イラストの傾向
.
先週から自分のリソース全部突っ込んで、
オンライン書店からライトノベルの表紙見てチェックマーク入れ続けてました。
.
ライトノベル・イラストの傾向
http://ippo.itbdns.com/tmp/illust/index0.html
.
で、こんなんできました。
まだ未完成ですが。
.
ラノパ周りに打診するとデータ打ちとか手伝ってくれそう、という話が出てるので、もうちょい色々分析できるかもしれませんね。
いや、ラノパに限らず色々やってくれる人歓迎。
.
で、まあ、その流れなら、このネタはラノパへの投稿記事としてどうよ、
と打診したんだけど返事が無い。ただの屍のようだ。
いいや、腐る前にここに公開しとこう。投稿移設予定って事にして。知らん。
2005/8/17(We)
▽ライトノベル・イラストの傾向
.
http://ippo.itbdns.com/tmp/illust/index0.html
下書きとしてますが、多分これこのまま延々と2ヶ月ぐらい下書きしてると思います。
いつまでも完成しない。
のでもうこのままこれがほんまもんと思って貰って結構。
.
まあ、データがあって結論があってのもので、
データがなんぼでも増えるんだから完成しようがないわな。
.
本日は富士見ミステリー文庫のデータを追加。
リスト生成に数時間かかるけど、
打ち込み自身は1時間か2時間。ちょっと仕事に嫌気が差した時、食事休憩代わりの気分転換になる。なるのかなあ。ちょっと根詰めた作業だからなあ。
. で、富士見ミステリーの、ミステリーと名が付いてる癖に健全っぷりに驚きました。まさにミステリー。
.
表紙5割が男女カップル。
そして、女性2人組みたいなのとか、男1人の周りに沢山女子とか、男の子ウケしそうな絵がほとんど無い。
性別変えて、男2人組とかもあんまり無い。
ふとももがちらちらしてるあたり、男性レーベルの呪縛から逃れきってはいませんが、必ずカップルというスタイルはむしろコバルト文庫に近い。でありながら、コバルト文庫にはあった男2人組すらない。
この「健全さ」? が何処から来るのか、是非レーベル読みの人に聞いてみたいものです。
私このレーベルほぼ読んだ事がないから全く感触が不明。
.
言うと、恋愛要素は富士見ミステリには不要であり、それ以外の特徴で売っている、からこそ、そこはオーソドックスに普通であり続けている、という事なのでしょうか。
両手に花とか、攻めと受けとか、そういうのは要らないよ、と。
. 業多姫とタクティカル・ジャッジメントの初巻ぐらいしか読んでないのですが、なんかああ納得、という気にはなります。
2005/8/18(Th)
▽ミステリ
.
あるいは探偵小説、もしくは犯罪小説について。
翻訳系という事で話を絞っておく。
. 小学校の時にホームズとルパンを全部読んだのが読書ライフのかなり始端にある訳だが、以後SFへと流れて久しい。
.
で、最近ディック・フランシスを教えて貰ってから、翻訳ミステリ系を読むようになった訳ですよ。
で、ミステリに対する認識がかなり変わった。
今までトリックを語る話、頭の超アクロバット的体操話、列車の時刻表の穴を探す話、そういう話だろ、そんなの興味ねえよ、という姿勢だったのですが。
あれ、結局これってキャラ萌え小説? みたいな。
別の言い方だとスタイルの問題っていうか。
特にディック・フランシスっていうぐらいだから、こう、ハードボイルド系? やせ我慢系、ストイック系のヒーロー小説。としてのミステリに私は結構燃えているらしい。
あと、とりあえず美女は出てくるよっていうお約束はやっぱりお約束としてあるみたいだし。そのへんも加点。
. あと、海外ドラマ系のノリのものも結構あって、それも好き。ボーン・コレクターとか。
.
で、こないだは「長い別れ」を読んだ訳ですが、
ふむん、名作って言われてても、私の趣味に沿うのは結構数少ないのかな? とか。楽しく読んだけど読んだだけで終わっちゃったな感が漂う。主人公の皮肉さ加減も微妙にソリがあわなさそうだ。
アガサも読後、面白かったけどもう話覚えてない、みたいなのが多いなあ。まだ数冊だけど。
.
「まさかあの人が犯人だったなんて!」
「そんな方法で密室殺人を成り立たせていたのか!」
という部分は、実はかなりどうでもいいのね。言われるまで判んねえよそんなの! とか、そんな道具があったなんて今まで全然書いてなかったじゃん! とか、都合よくあるもんか! とか、そこを真剣に突っ込んではいけない。
主人公探偵の過去、動機、
犯人の過去、動機、
二つがぶつかりあって、あるいは追跡劇のうちに共感と共に重なり合って、そこから産み出されるドラマ、それがいい、と。
そんな感じ。
「俺ならどうする?」
「何故、そんな事をした?」
という沢山の問いと答えの中に味わいが。
▽ミステリその後
. 書いてからネットをぶらぶらしてると
.
まいじゃー掲示板ツヴァイ
http://maijar.org/cgi-bin/bbstype2/index.html#20050420063526
本格ミステリとキャラクター小説は両立し得ないと思っています。
これはおもしろいかつまらないかという次元の問題ではなく、ミステリをきっちり書けば書くほど
従来(もしくは現在)ライトノベルと呼ばれ、またライトノベル系の読者受けする作品からは
離れていくということです。逆もまた然り。
作品を分析したことはありませんが、おそらく構成要素が異なるのではないかなあ、と。
そういう境界線にたっているのが米澤穂信氏あたりではないでしょうか。
cite( 極楽トンボさん )
乱暴な議論で恐縮ですが、要するに、
プロット・ロジックを突き詰めて、論理の愉楽やアクロバットの美しさを楽しむ本格ミステリと、
ある程度の元型をもとにキャラ造形を行い、そしてキャラの心理・振る舞いなどの描写に力点を置くライトノベルでは、
本質的に、作家に求められる力のいれどころや読者の趣向が異なるわけです。
ただ、傑作級の作品というのは、こういう垣根をあざ笑うかのように壊していくものだとも思います。
cite( lainさん )
.
という発言にぶつかる。
まっこうから逆を言ってるようで興味深い。
.
ここで話題とされてるとは翻訳ミステリでなく、和製ミステリ(あるいは本格ミステリと名付けられたジャンル?)のようなので、そのあたりが違うのだろうか。
それとも読み筋が全く私とでは異なるという事だろうか。
私の主張は、
ミステリはロジックは面白くない。でも探偵のキャラ立ては面白い。
というものなのだが。
□『銃と魔法』
面白いから何時か読め!
と延々言われ続けられながら、結局積み続けていた本でした。
面白かったけど、古本屋に並んでたら買っとけというぐらいで、積極的に探して買え、と言われるとどうか。
そういう安っぽい楽しさ。ペーパーバック向きというか。
海外TVドラマのノリでもありますね、警官もの。
あと、TRPGをやってる奴なら読んでいいかも。という。
「Alice」のクマの人、
と言ったら今は通りがいいのかな、その人のデビュー作。
うん、まあ、そのノリはこの頃から健在なんだね? とは思った。
題:銃と魔法
続:富士見ファンタジア文庫
著:川崎 康宏
符:ISBN4-8291-2541-1
標:富士見ファンタジア文庫
刊:富士見書房
年:1994/01
型:(cm): 15 x 11
頁: 314p
値:\571
文:ギルバート・ケイン―エルフ。職業・刑事。愛称・ギル。自称・フェラーリの鷹。ウィルバー・オコーナー―ドワーフ。職業・刑事。愛称・ウィル。趣味・銃撃戦。アイロリッジ市警ウィリス分署のベテラン刑事コンビは、仲間の刑事たちとともにストリートギャング、ジャングルラッツの摘発を行なった。単純なチンピラ掃除のはずだった。しかし、グループのボス、マイク・ヒースを取り逃がしてしまう。それがまちがいの元だった。ヒースを逮捕しようとするたびごとにアクシデントに見舞われ、肝心のヒースには逃げられ、後に残されるのはとんでもない大騒動と負傷者。追いつめられたケインらに最後の切り札はあるのか。エルフ、ドワーフ、ゴブリンなど、ファンタジーの登場人物たちがコンクリートの街を疾走する、ドタバタ警察アクション。第五回ファンタジア長編小説大賞準入選作。
□『長いお別れ』
上述でちょっと触れてる通り。
ディック・フランシスを薦められて以後、ちょくちょく海外ミステリを拾い読みしてるうちの一つ。
私は結局ミステリを、ミステリとしては読まず、主人公らのキャラ萌えで読んでいる。思えばルパンとかホームズとかも小学校の図書館にあったの全巻読破したけど、トリック云々じゃなくて、ひたすらヒーローがかっこよかったから読んでたんだよな、多分。
あるいは、主人公の行動を透かして見えてくる犯人の造型とか。このへんの楽しみ方は、「パトレイバー」の後藤隊長を透かしながら見る犯罪者の首魁達、みたいな感じだろうか。特に映画のパトレイバーを念頭に置いてみて欲しい。
探偵の犯罪者の、追跡を介して重なる、一体感。そんなの。
だから、「ボーン・コレクター」とかかなり楽しんで読んだ。
アガサは、ちょっと微妙だなと思った。
で、レイモンド・チャンドラー。
やっぱりこれも微妙のうちかなあ。
普通にミステリ小説ですね、という感じで、主人公のキャラにイマイチ萌えない。SFミステリはアシモフで楽しんだけど−−って、要するにロボットシリーズですね−−、起承転結的なそういう楽しみも特に無い。
まあ、一冊で文句言ってもあかんだろう。
□『さらば愛しき女よ』
という事で、更にレイモンドを読んでみる。
んー。やっぱ微妙かな。どっかでぽかっと空き時間ができた時、時間埋めに読むぐらいの魅力はあるんだけど。この忙しい時にあえて睡眠時間を削って読む! とか、そういう吸引力は私には無い。
ハードボイルド系の探偵マーロウ。鉄面皮で遠慮なしの口しかきかない癖に、微妙に正義感で、要らぬ好奇心の持ち主。猫をも殺す、というノリで、今回も揉め事に自分から突っ込む。
んー。この人の正義や好奇心の行くべき指針、みたいなものがちょっとぼんやりしてるんだよね。硬骨の人だと思うとどっか微妙にナンパだったり。
この回では、時々急に怒鳴りだすあたりがよく判らなかった。
シリーズ前巻(日本での刊行順で読んでるけど、海外でのシリーズ順は違うよう)で恋人か親友が自分の性格の尻拭いで死んだ、とかあったのかな? それだと、周囲に突付かれた時に急に爆発して怒鳴るような、そういう不安定な悔いを持ってる、という事で判るんだけど。
2005/8/20(St)
2001/08/20 フレッド・ホイル氏、死去。享年86歳。 (史実) →